1.自分史とは?
日本の子供は就職活動の時に、「そういえば私ってどんな人間だろう」と感じることが多いのですが、それは就職をするに当たって自分という人間を会社に対してアピールしなければならないからです。
しかしそこで、はて、自分ってどういう人間?と困惑することも多いのですね。
年を経るにつれて何となくですが「私」というものを発見し、またわかってくるものです。
しかしある程度の年にさしかかったとき、ふと「自分史」を作ってみようかと考える人が出てきます。
自分史とはその名の通り、それまでの自分が辿ってきた道を文章に記したもの、写真なども使って自分という人間がここまで来るために歩いてきた道を確認する作業になります。
自分史を作るにあたってのメリットはいくつか考えられます。
例えば、最初に考えられる意義では後世に伝えるという役割です。
しかしそれ以外にも、自分という人間を振り返って具体的な形にまとめる過程で、自己認識をより明確に持つことが出来るのです。
そして、生きてきた証を残せるというメリットです。
一人の人間の歴史として記録に残すことにより、自分が体験してきたこと、経験から得た知識や知恵などを子供や子孫、家族や友人などの色んなたくさんの人に伝えることが出来ます。
それを本にまとめて出版するなどし、国会図書館に納本した場合には国が続いている限りは保存されるのです。
もしかしたら2000年後の日本において、誰かが歴史研究の資料にするかもしれません。
こういう時代にこういう名前のこんな人間が存在していた、という記録をしっかりと残せるのですね。
2.「私」という人間をよく知ることが出来る
次のメリットは、「私」という人間をよく知ることが出来る、ということでしょう。
自分という人間のことは知っているようで実はあまり理解していなかった、ということがよくあります。
痛い経験は忘れてしまうのが人間ですし、過去の記憶は本人に都合よく書き換えて覚えていることもあり、今までのことを振り返るに当たって周囲の人間に聞いてみれば事実は全然違うことだった、ということがよくあります。
そしてその時は不幸の真っ只中だと思うような衝撃的な出来事を過ごしたけれど、今から考えてみればあれがあったからこんな良いこともあったな、と、嫌な経験が人生の糧になっていることに気がつくこともあるでしょう。
それは失敗や挫折が決してマイナスなだけではなく、人生においてはプラスの意味もあるということに気がつくことでもあります。
リスクを必要以上に恐れることがなくなり、どうにかなる、きっと良くなる、と思えるのは自分史を作る上でのメリットと言えます。
また、過去の自分を振り返って観察することで、忘れていた情熱を思い出すこともあります。
昔は自分が好きだったことや得意だったこと、だけどいつの間にかしなくなった趣味など、自分の個性や強みが見えてきます。
そこから新しい夢や目標が生まれ、これからの生きがいを見つける人も出ています。
昔の私、素直な子供だったころは何が好きだったでしょうか。
どんな夢を持っていたでしょうか。
大人になって黙々と生きている今、思い返せば叶えたい夢があったかもしれません。
本当にあなたがやりたいことを思い出し、それに突き進む原動力となることでしょう。
3.自信や自尊心が高まる
自信や自尊心が高まるというのも、作業をすることで生まれるメリットです。
人間という生き物は社会的な生物ですから、他者と交わりながら生きて行きます。
その途中で本当に多くのことを経験しているものです。
学校生活や友人関係、恋愛や旅行、就職、結婚など今まで経験してきた一大イベントと呼ばれる様々な出来事を振り返るだけでも、よくここまで生き残ってきたな、という自信を持てる人も少なくありません。
これだけ沢山のことが自分の身に起っていたけれど、頑張ってよくやってきた、凄いことだ、と思えるのですね。
自分に自信を持ち、自尊心を高められることで現在の生活がとてもうまく回りだすこともあります。
あくまでも主役は自分である、と思い出すいいキッカケになることでしょう。
自分史を作ることは脳を活性化する作用もあるとされます。
作業をしている中で色んなことを思い出そうと考え、文章にまとめるということが脳の活性化につながるのですね。
最近の医学においても、認知症の予防には脳の一部分を日々活用することがとても大切だといわれています。
簡単なところでは日記を書く習慣をつけるだけでも良いのですが、これらの動きは脳の働きからみてとても良いことだそうです。
生まれてから今までを振り返るという作業はすぐには完結しないでしょうから、長時間に渡って脳を活性化することが出来るので、生涯学習の良いテーマにもなるでしょう。
このように、様々なメリットが自分史を作る過程で生まれてきます。
一人は中々難しいでしょうから友人や家族に確認をとったりすることでコミュニケーションも生まれ、絆が深まるとも言われています。
自分に自信がなくなった時などに読み直すのも、良い効果があると考えられます。
→自分史の作り方、自分年表の書き込みなどに興味はありませんか?
最終更新日 2025年7月8日 by luizmon