1,社会的に求められる産業医のお仕事
産業医は法律上、権限が強化されたことから現在注目を集めている職業の1つです。
普通の医師とは違い、診断や処方をするということはないのですが、具体的にはどのような仕事をしているのでしょうか。
まず、産業医は衛生委員会や安全衛生委員会に構成員として出席をして、意見を述べるという仕事があります。
企業の希望によっては、衛生講話と言われる衛生管理や健康管理の研修も社員に対して行います。
そして、毎月1回は職場を回って環境が悪くなっていないかどうかの確認をします。
これは職場巡視と呼ばれる仕事になり、定められた基準が守られているかどうかの4S確認と社内の温度・湿度などの確認があります。
また、それ以外にもトイレや休憩室、消火器やAEDの場所の確認なども行います。
産業医は健康診断の結果をチェックして、異常の可能性があると診断された社員には就業判定をします。
そして、休職が必要だと判断された場合には意見書を作成します。
健康相談を希望する社員には、相談を受けるのも仕事の1つです。
また、休職希望している社員がいる場合や、体調不良が原因で遅刻や早退・欠勤が続いている人が確認された場合には面談を行うこともあります。
休職とは、一般的に本人からの申し出があることが基本となり、申し出を受けたら必ず休職面談を行います。
休職後の復職時にも面談を行い、病状の回復程度を把握するということも重要です。
産業医紹介も参考
2,産業医の資格と選任形態
このように、たくさんの仕事がある産業医ですが、なるための要件にはどのような資格が必要になるのでしょうか。
まず、大前提として労働者の健康管理を行う必要があるため医師であることが前提になります。
そのうえで、労働衛生コンサルタントに合格をしている人や労働衛生に関する科目を担当する教授などの経験がある人、日本医師会の基礎研修を終えている人など様々な要件があります。
産業医は会社の規模や業務内容によって選任する数や形態も異なってきます。
労働者が50人以上で3,000人以下の規模の場合は、必ず1名以上選任しなくてはいけません。
労働者が3,001人以上になる規模の会社の場合は、必ず2名以上選任しなくてはいけません。
ここで気を付けなくてはいけないのが、事業所の数に合わせて選任しなくてはいけないということです。
50人以上の従業員が居る事業所が5つあれば、5人選任しなくてはいけないというわけです。
また、委託か専属かによっても勤務形態が異なりますので注意が必要です。
委託の場合は、労働者数が50人以上、999人以下の場合に限り可能となります。
ただし、会社で取り扱っている業務が有害業務の場合は、500名以上でも専属を選任しなくてはいけません。
委託は、主に普段開業医や勤務医として働いている医師が行うことがほとんどであり、月に1回以上の訪問をするという形態が一般的です。
そのため、1人の医師が複数の企業を担当しているというのもよくある話です。
専属は常時1,000人以上の労働者がいる会社と、有害業務に常時500人以上の労働者がいる会社の場合に選任しなくてはいけません。
さらに3,001人以上になる場合は2名以上選任しなくてはいけません。
専属の場合は、会社の一員として扱われるため勤務時間はその会社ごとに属したものとなります。
しかし、実際には一般的な会社の就業時間が週5日×8時間であったとしても、実際ではこれに縛られることなく働いているという人がほとんどです。
3,産業医の収入
業務内容や会社の規模や業種によっては、時間内に就業するケースも多く見受けられるようです。
また、勤務する会社と委託の会社の距離が1時間以内で移動できる場合などは、兼務をしてもよいと法律で定められています。
そのため、専属と委託で働いているという人も多くいるのが実情です。
産業医の年収は、会社の規模や業種によって大きく異なります。
週に4日勤務している専属の場合は、おおよそ1,000万円~1,500万円となります。
医師の平均年収が1,240万円となりますので、それよりも高いことがわかります。
専属の場合通う勤務日数は週4~5日で、残業がほとんどないため年収が高くてもワークライフバランスが圧倒的に取りやすいという特徴があります。
業種や規模によってとは言いますが、やはり大手の企業に勤めることが多いため手厚い福利厚生や退職金も期待できるでしょう。
また、委託の場合は勤務回数が企業によってことなり、少なければ月に1回から週に1~2日の勤務となります。
専属よりも年収は当然低くなりますが、勤務時間の自由度が高く複数の企業と兼任すれば専属と変わらない年収が期待できるかもしれません。
時給換算しますとおよそ3~5万円が相場となっており、月に1回4時間訪問をしても12~20万円程度のお給料がもらえるでしょう。
金額は従業員の多さによって比例する傾向にあるようです。
上手にスケジュールを調整すれば、アルバイトよりも多くの収入が得られるかもしれません。
最終更新日 2025年7月8日 by luizmon