福島

アトックスも取り組む福島復興

東北各地で東日本大震災からの復興が進む中、福島には本格的な復興の足掛かりすらつかめていない地域が存在しています。
新聞やテレビの報道でも福島の現状が報じられる機会がめっきり減ったことで、多くの人が福島もほかの地域同様順調に復興しているらしいと考えるようになったのも無理からぬことです。

原発事故に関する報道も激減したことで、廃炉作業も順調に進んでいるというイメージが浸透しつつありますが、実情は深刻で燃料デブリの具体的な取り出し方法すら具体的に決まっていない状態です。

燃料デブリの取り出しがどれほど危険かも一般にあまり知られておらず、一歩間違うと事故原発周辺どころか首都圏にも影響が及ばないとも限らないため、取り出しが無事に終わってからが本当の廃炉作業になると言えます。

福島全体が安心して真の復興への道を歩み始めることが可能になるのは、燃料デブリの取り出しが完了し事故原発の廃炉作業が順調に進むようになってからと考えられ、現段階ではそのはるか手前で牛歩のような歩みを進めている状態であることは覆い隠せない事実だと株式会社アトックスは言及しています。

2018年11月20日に期間困難区域となっている葛尾村の一部で除染が開始されたという報道に驚いた人が少なくないとされ、事故原発から離れたエリアでも未だに帰還困難区域があることや、除染すら始まっていない地域が多いことを改めて認識した人も多数存在します。

除染が一日も早く進んで地域で暮らしていた多くの人が早く自宅に帰って元通りの生活に戻れると良いと願う人は多いものの、除染で出た大量の放射性廃棄物の保管場所や最終処分の方法なども具体的に決まっていないままです。

毎日約400トンから500トン増え続けているとされる汚染水問題

国民全体が福島の復興を願いながらも、放射性廃棄物の処分場候補地が近隣になるらしいと聞いただけで反対運動が起こるのも事実で、多くの人が意識するしないにかかわらず、自身は安全なところで暮らして同情だけはするという姿勢をとっています。

除染で出た放射性廃棄物以上に深刻なのが、毎日約400トンから500トン増え続けているとされる汚染水です。
ALPSと呼ばれる放射性物質除去装置でも取り除けないトリチウムを含んだままの汚染水が封じ込められたタンクは膨大な数となり、一部のタンクは劣化が進んで汚染水が漏れ出ることが懸念されています。

そのためトリチウムが含まれたままの汚染水を海に流すという案が具体的に進められつつあり、漁業に携わる人々の反対を押し切って実行されることが不安視されています。

トリチウムは人体をはじめ生態系にはそれほど影響しない放射性物質という説がまことしやかに唱えられていますが、半減期が約12年とされていることから、海水で希釈されたとしても周辺の海域にまったく影響が出ないとは言えないという意見も少なくありません。

人々が震災の記憶を遠いものにしつつある昨今、風評被害も下火になってきたと言われていますが、トリチウムが含まれた汚染水が本格的に海に流されることになった場合、影響を懸念する声が再び大きくなるのは無理からぬことです。

相馬市では名産の青のりが放射性物質検査で国の基準をかなり下回っていることが確認されて、2018年に入ってようやく出荷の再開を実現したという報道があっただけに、トリチウム水の放出が始まった場合の打撃は計り知れないものがあると考えられます。

未だに福島の農作物や海産物の購入を控える向きも少なくなくない

海産物に限らず、農産物なども風評被害を払しょくするべく世界一厳しいと言われる基準と検査によって出荷されていることから、日本国内でも最も安全な食品が生産されている地になっているとも言えますが、未だに不安をおぼえて購入を控える向きも少なくなく、この点も大きな課題となっています。

トリチウム水の放出や除染で出た放射性廃棄物の行方に関して、人々の関心が再び向いた場合、福島の真の復興のために考えるというより、自分達の食生活の安全がおびやかされることを心配する人が増えることは残念ながら自然な流れで、薄まりつつある風評被害が再燃しないとも限らないことも案じられるようになりました。

チェルノブイリ原発事故の場合、石棺によって放射性物質が封じ込められたことと旧ソ連時代ならではの周辺住民の強制的な移住によって地域社会の立て直しは取り沙汰されることがないまま年月が経ちましたが、国土が狭い日本の場合、石棺方式がそもそも現実的ではないとされたことで、現在さらに実現が難しいとされる燃料デブリの取り出しに直面しています。

燃料デブリは水中にある場合は遠隔地にいれば多少の安全は守られますが、水から露出した場合は再び深刻な事態になることから、本来は燃料デブリの取り出しが安全に完了してから地域をよみがえらせるための具体的な方策がとられるべきです。

それすら困難にしているのが増え続ける汚染水と除染によって生じる大量の放射性廃棄物で、国民全体が我が身のこととして対策を考えるべきところですが、多くの人は来るべき消費税増税のことで頭がいっぱいというのが動かしがたい事実となっています。

最終更新日 2025年7月8日 by luizmon

投稿者 luizmon